遺言で反則金を取られる?
遺言で反則金を取られる?
反則金と書きましたが、正しくは「過料」(過ち料金)のことでして、刑法第9条で定められている「科料」とは別で、刑罰ではありません。
その辺は少々面倒なので簡単に反則金としておきます。
で、本題ですが、どういうことかといますと、遺言の方式にはたくさんの種類があります。
自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のほか、特別の方式の遺言など。
この中で自筆証書遺言についてですが、誰でもどんなことでも書けますし(遺言執行は別)、法律上有効である書き方をしていれば、問題なく有効な遺言として認められます。
ここで、ちょっと注意が必要なのは、遺言があったから、それが法律に規定されている事項をクリアしているから、この遺言にそった遺言内容の行動をした場合、過料(反則金)を取られるんです。
なんで?となりますが、公正証書遺言を除いて、遺言があった場合は速やかに家庭裁判所へ遺言を提出して、検認を受けなければないないと民法で定められていて、民法本文そのもので、過料、5万円以下に処すると規定されているからなんです。
なんか、ピンときませんよね。
遺言があって、法律上有効な遺言であって、それを実現してあげただけなのに反則金を取られるんです。
また、封印された遺言書を勝手に開封した場合も同じく反則金が課されます。
実は、遺言書の成立とそこにある遺言書の存在を先にしっかりと確認しておかなければ、後で遺言書の偽造・変造をされた場合、遺言者の真意を確保することができなくなるから検認が必要とされています。
検認は家庭裁判所で行う手続きでして、相続人は、裁判所に遺言書を提出して検認の請求をしなければならないんですね。
この検認は、遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
あくまでも遺言書の偽造・変造を防止するための手続きなんです。
この手続きを行わないで遺言書の実現を行った場合に「過料」が課されるということなんですね。
この検認を行わなかったために、相続による所有権移転登記が不備になったり、預貯金の名義変更などがスムーズにいかなくなることもありますので、注意が必要ですね。
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