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改正潜水士テキスト対応、令和出題の過去問題の解答と解説を簡単に学ぶことができます。合格者多数、潜水業務やダイビングインストラクターには必須の資格です。

潜水業務

潜水業務

  • 水中で人体に影響を与える主なものに圧力、熱、浮力、光、音及び各種呼吸ガスなどがあります。
  • 潜水士試験では、これらの基礎知識を理解しておくことが必要となります。
  • ここに記載されていることは、ほぼ試験に出る内容です。言葉を全部覚えるというのではなく、ポイントを押さえましょう。
    • 例えば、10m潜水すると0.2MPa、20mでは0.3MPa・・とか、絶対圧力とゲージ圧力は違う。窒素は不活性ガスで麻酔作用があるという感じです。

項目

潜水物理学

潜水の種類について

スクーバ潜水

全面マスク式潜水

ヘルメット式潜水

混合ガス潜水

飽和潜水

潜水業務の計画と管理

潜水業務の危険性および事故発生時の措置


潜水物理学

圧力


  • パスカル(Pa)ということばが国際単位系(SI)の圧力の表し方(単位)です。
  • 圧力とは、「ある面積あたりに垂直に働くちから(N:ニュートン)」のことで、1平方メートル(㎡)あたり1Nの力が加わるときの圧力を1Paといいます。
  • 潜水ではいろいろな圧力の表し方(単位)が使われるけど、キロパスカルとメガパスカルはよく使われるので覚えておきましょう。
  • 100,000Pa = 100kPa(キロパスカル) = 0.1MPa(メガパスカル) = 1bar(バール)
  • 101.33kPa = 1atm(アトム)(気圧)
  • 100kPa=0.1MPa(メガパスカル)≒ 水深10メートルの水圧にほぼ等しい。これを良く覚えておきましょう。


圧力の伝わり方

「パスカルの法則」


  • 水や空気などは、特に決まった形を持ってないので形は変わります。そのような物(物体)を流体(りゅうたい)といいます。
  • 「流体に加えられた圧力は、すべての方向に等しく伝わり、流体内の任意の面に対し、常に垂直方向に作用する。」これをパスカルの法則といいます。
  • 人の体はほどんど流体でできているので、圧力(水圧)が加わっても、身体に加わった水圧は、パスカルの法則によって、すべての細胞に瞬時に等しく伝わるため、細胞内部の圧力は常に水圧と均衡(均圧)を保つことができるので生体の組織構造に歪(ゆがみ)を生じません。つまり、普通の深さの潜水では人の体は水圧に押しつぶされることはないのです。


水の圧力


  • 水の圧力には密度が絡んできます。密度は、質量(そのものの重さ)と体積とに関係し、水の密度は、1g/cm3です。
  • 水の質量は、体積1cm3で、1gです。
    • 質量(g、グラム) = 密度(g/cm3) × 体積(cm3)
      で、面積1mの高さ10mの水の質量は、=10,000kg
  • 海水は普通の水とは違って塩分などが加わっているため、密度が高く、約1.025g/cm3なので、10mでは、10,250kg(質量)、水圧は、100,518.675Pa ≒ 100.52kPa 
  • 1atm(気圧)は、101.33kPa(キロパスカル)なので、すごく近い数字で、海水10mあたり、約1気圧と覚えます。
  • 海水10m深くなるに従って、約0.1MPa(約100kPa 、1atm)ずつ増加するとも覚えておきましょう。


空気の圧力


  • 空気にも水と同じように質量と密度があるので、水圧と同じように圧力があります。
  • 空気の圧力は、水銀の密度と体積から質量を求め、空気(大気圧)は、101.33kPaとなります。これが1atm(気圧)です。
  • 大気の密度は、海面から高いなるほど小さくなります。このあとのダルトンの法則でも勉強します。
  • このことは、山の湖など高いところでの潜水に関係があり、高いところではいろいろな計算等を修正して潜水しなければなりません。
    • また、潜水直後の飛行機搭乗も気圧が低くなるから注意が必要です。


ゲージ圧力と絶対圧力


  • ゲージ圧力は、水圧のみを表していて、海水10mでは、100.52kPaとなり、20mではその2倍の、201.04kPa、 約2気圧が水の中だけでかかります。
  • この圧力は、圧力計などのゲージが示す値と同じなので、「ゲージ圧力」と言われています。
    • ゲージ圧力が使われる場合は、あとで出てくる「絶対圧力」と区別するために、Gという記号をつけて、201.04kPaGと区別する場合があります。
  • 潜水業務において使用する圧力計や深度計には、通常「ゲージ圧力」が使われています。
  • 次に、「絶対圧力」というのは、海面付近では、すでに大気圧の1atm(気圧)の圧力を受けているので、潜水すると実際に体にかかる圧力は、「水圧+大気圧」 ということで、
  • 海水10mでは、海水圧の100.52kPaに、大気圧の101.33kPaが加わって、201.85kPa、(0.201MPa)、約2気圧が実際に体に圧力がかかります。
  • 海水深20mでは、約300kPa(0.3MPa)3気圧、30mでは、約400kPa(0.4MPa)4気圧の圧力が加わって、このときの圧力を「絶対圧力」といいます。
  • この、絶対圧力とゲージ圧力の違いによって、計算などでどちらを使うかで答えが大きく違ってくるので、試験問題などでも、どちらの答えを求めているのかよく読みましょう。
  • ゲージ圧力 = 絶対圧力 ー 0.1MPa


  • ここから、いろいろな原理や法則が出てきますが、基礎知識ですので、どうしてそのような式や理屈になるのか??などとの疑問はあまり考えずに素直に覚えてください。


気体の法則


  • 体の中には、肺や空洞の部分があって、潜水すると圧力の影響を受け、また、後でも触れます、混合ガス潜水やある気体が体の中に溶け込んで、身体にいろいろな影響を与えるので、よく理解しておくことが必要です。

ボイルの法則


  • 「一定温度の気体の体積は圧力に反比例する。」
  • 圧力をPとし、気体の体積をVとすると、次の式が成り立ちます。

      V
P×V=2P×ーーー =P2×V2=一定 
      2

  • 圧力Pを2倍にすると体積Vは半分になる。3倍にすると3分の1になる。
    • これは、圧力を2倍にしても3倍にしても、体積は小さくなるので、常に圧力と体積の関係は常に一定ということです。

シャルルの法則


  • 気体の体積は、圧力のほかに温度にも影響を受けます。
  • 「圧力一定のとき気体の体積は、絶対温度に比例する。」
  • 絶対温度をTとし、気体の体積をVとすると、次の式が成り立ちます。

 V     V2
ーーー = ーーー 
 T     T2

  • Tの絶対温度は、-273.15℃のことで温度のひとつの単位のことで、20℃を絶対温度で表すと20℃はプラスの温度なので、273.15に20を加えた、293.15℃が絶対温度での表し方です。
  • このことも、後でボンベの圧力に関係してくるので覚えておきましょう。

「ボイル・シャルルの法則」


  • 圧力と温度と気体の体積の関係を表したものを「ボイル・シャルルの法則」といって、ボイルの法則では、温度が一定という条件があり、シャルルの法則は圧力が一定という条件があります。
  • この温度と圧力の両方が変化したときに体積はどうのように変化するかというのを表したものです。
  • 「気体の体積は圧力に反比例し、温度に比例する。」
  • 圧力をP、絶対温度をTとし、気体の体積をVとすると、次の式が成り立ちます。

 PV    P2V2
ーーー = ーーー 
 T     T2

  • 例えば、スクーバ潜水において、10リットルのタンクに19.6MPa(メガパスカル)まで空気を充填し、このときの空気温度が50℃であったものが、このボンベを使用して、水温20℃の水に潜水した場合、ボンベは冷やされるので、温度と圧力と体積の関係は、上の式から、次のように求められます。
  • 圧力p=19.6MPa、温度T=273.15+50、体積10リットル
  • 圧力P2=X、温度T2=273.15+20、体積10リットル


       19.6×10         P2×10
    ーーーーーーーーーー  = ーーーーーーーーーー
      273.15+50        273.15+20

  • 3231.5P2 = 57457.4
    • P2=X=17.780・・・となり、
  • 温度の低下により、圧力は19.6MPaから約17.8MPaとなり減少してしまいます。
  • 逆に、温度が上昇すると圧力も上昇して、タンクの耐圧圧力を超えると破裂します。

「ダルトンの法則」


  • 「2種類以上の気体からなる混合気体の圧力は(全圧)は、各成分気体の分圧の和に等しい。」
  • 2種類以上の気体が混ざり合っている気体を混合気体(混合ガス)といい、それぞれのガスの分圧の和は混合気体の全圧と等しくなります。
  • 呼吸している空気も物理上、実は混合気体で、ガスの割合(体積比)は、酸素をa、窒素をb、その他のガスをcとすると、
    • 酸素約(a)21%、窒素(b)78%、その他のガス(c)1%です。
      • (潜水では空気は、混合ガスではなく、空気は空気として扱います。)
  • それぞれのガスの分圧は、酸素21kPa(分圧)、窒素78kPa、その他のガス0.01kPaで1気圧(約100kPa)になります。
  • これを式で表すと、混合ガスの全圧力(例として空気とする)をPとすると、P(全圧)=Pa(分圧)+Pb(分圧)+Pc(分圧)となり、
  • 1気圧(約100kPa)の空気における各成分気体の分圧は、以下の式になります。

            21
酸素分圧Pa=100kPa×ーーー=21kPa
            100(混合ガスの合計の%)

                 78
同じように窒素分圧は、100kPa×ーーー=78kPa
                 100

               1
その他の分圧は、100kPa×ーーー=1kPa
              100

  • この空気を呼吸して水深30m(4atm)に潜水する場合、潜水中は、水深に応じた圧力の空気を呼吸することになるので、水深30mで呼吸する空気の各成分気体の分圧は、次のようになります。

             21
酸素分圧Pa=400kPa×ーーーー=84kPa
            100(混合ガスの合計の%)

             78
窒素分圧は、400kPa×ーーーー=312kPa
             100
               1
その他の分圧は、400kPa×ーーーー=4kPa
              100

  • 圧力が大きくなれば、各成分気体の分圧も増大します。
    • ただし、空気に含まれる気体の割合は変化はしません。
  • 高い山などに登った場合に、酸素濃度が薄くなったとよく言いますが、正確には酸素分圧が低下したのが正しい言い方です。分圧と濃度を間違えないようにしましょう。
  • 後で出てきますが、窒素酔いという高気圧障害があります。このため、高圧則では、窒素酔い防止のため、窒素分圧が400kPa以下となるように定められています。
  • この数字は、潜水や混合ガスなどにとても重要ですので覚えておきましょう。
    • ちなみに、窒素分圧が400kPaとなる圧力を考えて見ますと、

              78
窒素分圧は、XkPa(圧力)×ーーーー=400kPa
              100

  • X = 約512kPa =5.12気圧
    • 水深にすると、約41mとなります。ですから空気潜水では、現実的に水深約40mまでの潜水が限度となります。

酸 素窒 素その他
割合%分 圧kPa割合%分 圧kPa割合%分 圧kPa
30kPaの空気
高い山など
216.37823.40.3
100kPaの空気
海面(1気圧)
21217878
400kPaの空気
水深約30m
218478312
512kPaの空気
水深約41m
2110778400
窒素酔い
761kPaの空気
水深約66m
21160
酸素中毒
78594



となります。

「ヘンリーの法則」


  • 気体が液体に接しているとき、気体分子は液体中に溶解(分散)します。これを溶解といい、
  • 「温度が一定のとき、一定量の液体に溶解する気体の量は、その圧力(混合気体では分圧)に比例する。」と定められています。
  • これを質量側からではなく、体積側からみると、
  • 「一定量の溶媒に溶解する気体の体積は、その圧力下で測ると圧力に関係なく一定である。」とも定められています。
  • 水深10メートル(200kPa、0.2MPa)においては、液体中に溶け込む気体の量は大気圧の2倍になり、20メートルでは、3倍になります。
  • 気体は、液体中に無限大に溶解できるわけではなく、ある一定の限界があります。それは、気体ごとの溶解度で示されますが、限度いっぱいまで溶解溶解した状態を「飽和」といい、後で出てくる「飽和潜水」にも関係が出てきます。
  • 通常、大気圧下(100kPa、1atm)で生活している私たちの体の血液や組織の中には、例えば窒素は、78kPaで飽和していることになります。
  • 逆に、圧力が下がると、飽和していた気体は溶け込める状態ではなくなるため、余剰分は液体中から気体へ排出されることになります。
  • この飽和状態の均衡がくずれ余剰状態となった場合を「過飽和」といい、潜水で潜水した際、圧力の増加で、体内の血液や組織に溶解した気体が、浮上で過飽和になり、今度は、血液や組織から、肺を通じて呼吸によって水中に吐き出されます。
    • このことは、後で勉強しますが、高気圧障害にもかかわりが出てきますので、覚えておきましょう。

気体の特性

拡散


  • 気体分子は圧力の高い方向から低い方向へ移動し、圧力差がなくなるまで、つまり平衡状態となるまで継続します。
  • 呼吸もそのひとつであり、肺や末梢組織などでも酸素と炭酸ガスの交換が行われこれ「ガス交換」といっています。
  • 潜水では、周囲の圧力が大きく変化しますので、圧力に応じた高圧の空気を呼吸すると体内の血液や組織内のガスの均衡状態がくずれ、拡散が始まります。
  • 潜水すると圧力の上昇からガスの分圧が上昇し、体内にガスが拡散・浸透していきます。
  • 浮上の際は、逆に血液等から肺を通じて、呼吸で吐き出され拡散していきます。
  • ガスの種類によって、溶解・拡散する速さが異なりますので、後で勉強しますが、減圧に要する時間を短縮したり、高気圧障害の防止のために、空気ボンベの窒素の割合を変えたり、窒素の変わりにヘリウムを使用した混合ガス潜水などが行われれます。

湿度


  • 空気には水蒸気が含まれており、その量は「湿度」として示されます。
  • 空気中の水蒸気は、圧縮する過程で除かれてしまうので、通常の空気よりは乾燥しているため、潜水者の、口や喉などを呼吸によって乾燥させてしまいます。
  • 適度な湿度を給気に付加することはよいが、過度の加湿は、空気抵抗を増やす結果になります。
  • また、呼吸により吐き出された空気にも水蒸気が含まれ、通常の潜水では問題はありませんが、寒冷地などでは潜水器を凍結させるおそれもあります。
  • また、マスクのガラスにも曇り生じるため、つばや曇り止めなどを潜水前に塗布することが必要です。

密度


  • 単位体積あたりの気体の質量を「密度」といいます。圧力に比例して変化します。

       質量
密度 = ーーーーーー 
       体積

  • 1気圧(101.33kPa)の空気の密度は、1.226kg/m3ですが、3気圧(303.99kPa)では、3.678kg/m3となります。
  • 空気密度の増大は、潜水者の呼吸に重大な影響を及ぼします。
  • これは、密度が増大(単位体積あたりの空気重量の増大)すると「重い」空気の呼吸であり、重い空気は呼吸抵抗を増大し、肺での換気の能力を低下させます。
  • このため、深い潜水では、密度が小さく、窒素のような麻酔作用のないヘリウムガスを利用した混合ガスが空気に変えて用いられています。

浮力


  • この浮力は、潜水では特に重要な項目ですのでしっかりと覚えましょう。
  • 水中では、浮力という力が働き、これによって、物を浮き上がらせようという働きが生じます。この法則を「アルキメデスの原理」といいます。
  • 「流体中で静止している物体に働く浮力は、物体を流体で置き換えたときの流体の重量に等しい。」
  • 浮力(kg) = 物体の体積 × その液体の密度
  • 水中重量 = 大気中での重量 - 浮力 (答えがマイナスになる場合は、浮く)
  • ※ 例題1
    • 体積1リットル、重さ2キロの物体を真水に入れたときの浮力はいくらか? また、水中重量はいくらか?(真水の密度は、1cm3あたり、1g/cm3である。)
      • 浮力X=1リットル(1000cm3)×1kg/m3(1000g/cm3)=1kg
      • 水中重量X = 2kg - 1kg 水中重量は1kg(沈む) 
  • ※ 例題2
    • 体積1リットル、重さ2キロの物体を海水に入れたときの浮力はいくらか? また、水中重量はいくらか?(海水の密度は塩分などにより、1cm3あたり、1.025g/cm3である。)
      • 浮力X=1リットル(1000cm3)×1.025kg/m3(1.025g/cm3)=1.025kg
      • 水中重量X = 2kg - 1.025kg 水中重量は0.975kg(沈む)
  • 上記から海水での水中重量が軽いので、真水のときよりも浮力が大きいため、ウエイトが真水での潜水よりも海水での潜水が多く必要となります。
  • ※ 例題3
    • 4kgの質量のある物体を真水の中に入れたとき、500gの水があふれ出た。500gの真水は体積に換算すると500cm3である(真水は4℃のとき、1cm3あたり、1gである。)。この物体は浮くか、沈むか?、また、浮力とはいくらか?さらに水中での重量はいくらになるか?
  • 物体に働く浮力は、物体を流体(水)で置き換えたときの流体の重量に等しいのであるから、この物体に働く浮力は0.5kgである。
  • ※ 物体がこれと同体積の水より重たければその物体は沈み、軽ければ浮くのであるから、上記から物体の体積は500cm3で水の重さは500gであるから、500gの水より4kgの物体は重いので沈む。・・・「負の浮力」
  • ※ 水中では、この4kgの物体には、0.5kgの浮力が働いているのであるから、水中ではこの物体の重量は3.5kgとなる。
  • ※ 同じであれば浮きも沈みもしない。・・・「中性浮力」
  • ※ 水の重さ(浮力)が物体の重量よりも大きければ、浮く。・・・「正の浮力」

潜水に関係する気体の性質

空気


  • 空気は、酸素21%、窒素78%、アルゴン0.9%、炭酸ガス0.03%等その他のガスからなる混合気体で、一般の潜水用に用いられています。
    • よく酸素ボンベという言葉を聞きますが、一般の潜水では空気ボンベが正しい言い方です。

酸素


  • 酸素は、無色、無臭、無味の気体で液体に少し溶けます。
  • 高い分圧の酸素は有害で酸素中毒を引き起こします。
  • 高圧則第15条等では、酸素の分圧を18kPa以上、160kPa以下(必要な措置を講ずれば、220kPa以下)とするよう定められています。

窒素


  • 窒素は、無色、無臭、無味の気体で不活性な気体です(高温では化合します。)。
  • 高い分圧窒素には、麻酔作用があり、窒素酔いを引き起こします。
  • 高圧則第15条等で、潜水等に用いる際の窒素分圧を400kPa以下とするよう定められています。
    • したがって、「ダルトンの法則」のところで勉強しましたが、空気潜水では、水深40mまでに制限されます。
  • また、窒素は、潜水中に体内に溶解しますので、急速な浮上(減圧)では体内で気泡化し減圧症の原因となるので浮上には注意が必要です。
  • この窒素は、今後勉強していく上で潜水に関係が深い気体です。

ヘリウム


  • ヘリウムは、無色、無臭、無味、きわめて軽い気体で、不活性ガスと呼ばれています。
  • 窒素のような麻酔作用はなく、密度が小さいので、呼吸抵抗が少なく、深海潜水用の呼吸ガスとして用いられています。
  • 反面、熱伝導が高いため、潜水者の体温を奪ったり、音声をゆがませる(ドナルドダック・ボイス)という欠点もあります。

炭酸ガス(二酸化炭素)


  • 炭酸ガス(二酸化炭素)は、無色、無臭、無味の気体で、人体の代謝作用などによって生じます。
  • 大気圧下で2%(分圧2kPa)以上の濃度になると中毒作用を引き起こすので、高圧則第15条では、炭酸ガス分圧を0.5kPa以下とするよう定められています。

一酸化炭素


  • 一酸化炭素は、非常に有害な気体で、吸引すると赤血球のヘモグロビンと結合し、微量でも中毒症状を起こします。
  • エンジンの排気ガスや不完全燃焼などによって発生するので、コンプレッサーの送気やボンベなどの呼吸気体に混入しないように十分注意が必要です。


水中での光と音と熱の伝播


屈折

  • 光は密度の異なる媒体を通過するとき、その境界面で進行方向が変化するという特性があります。
  • 空気と水の密度は大きく異なるため、水中を進んできた光は、潜水で使用している面マスク内の空気との境界で屈折します。
  • つまりマスクを通して見た水中の物体は、実際より大きく(4/3倍)、また近く(3/4の距離)にあるように感じます。
  • 実際にも大きく見えるので、水面が凸レンズの役目を果たしています。
  • 屈折の方向は、入射角より屈折角が大きくなります。

散乱と吸収


  • 光が水中を進むとき、散乱と吸収によって光は弱く(減衰)します。
  • 散乱は、水中に浮遊するプランクトンなどに衝突し、進行方向が変わってしまう減少で、濁りがひどいほど影響が大きくなります。
  • 光は、水の分子によって吸収され、光の波長が長いほど吸収されやすくなります。
    • 波長の長い赤色が最も吸収されやすく、波長の短い青色が最も吸収されにくい(青色が残る)。
  • 濁った水中やプランクトンが多い水中でよく見える色は、蛍光性のオレンジ、白、黄の順です。


  • 音は振動によって伝播するため、密度の高い物質ほどよく音を伝えます。
  • 気体より液体、液体より固体の方が音は早く、そうして効率よく遠くまで伝播します。
  • 空中では音は毎秒330メートルですが、水中では毎秒1400m~1500mにもなります。
  • 空気中では、両耳に達する音の大きさや時間のわずかな差から、音源の方向を認識していますが(両耳効果)、水中では、伝播速度が非常に速く、耳の機能が損なわれます。
  • このことは音源の距離や方向を確認することを困難にするので、浮上の際の頭上のボートのスクリュー音などに十分注意しなければなりません。

熱の伝播


  • 水中は、人体にとって冷たい環境であるので、潜水によって体温を損失します。それによって低体温症などの障害を引きこすので潜水服の着用が必要です。
  • 熱の伝播には、「熱伝導」、「熱対流」、「熱放射」、「蒸発」がありますが、潜水に関係が深いのは、「熱伝導」、「熱対流」です。
  • 「熱伝導」は、水中では空気中の約25倍も高い(熱を伝えやすい)ので、体の表面の熱が周囲の水に伝わり、急速に体温を損失します。
    • 潜水者の体熱損失は、ほとんどが熱伝導によるものです。
  • 「熱対流」は、水の動きによって熱が移動する現象で、潜水者の体熱に暖められた潜水者の周囲の水は対流によって、すぐにどこかへ移動するので、常に体熱を損失することになります。
  • 蒸発は、潜水中はほとんど影響はありませんが、浮上後に、風などによって体の表面の水やウエットスーツからの蒸発によって体温を奪われる場合があります。




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