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省令の施行等について

高圧則の一部を改正する 省令の施行等について

高気圧作業安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について

第1  改正等の趣旨

高圧室内業務及び潜水業務に関し、呼吸用ガスとして窒素及びヘリウムを含む混合ガス等の使用、酸素減圧の実施等の技術の進展等があったことから、これに対応するため、高気圧作業安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 40 号。以下「高圧則」という。)を改正することとし、併せて、体内に蓄積されたガスの値を算出等する際に必要となる計算方法等を、新たに厚生労働大臣が定める告示としてまとめて規定することとしたものである。

第2  改正等の要点

  • 1 高気圧作業安全衛生規則の一部改正関係
    • (1) 事業者の責務(新高圧則第1条関係)
      今般の改正により、これまでの減圧表による一律の規制とは異なり、事業者が法令の規定の範囲内において減圧を停止する圧力や当該圧力下において減圧を停止する時間を自ら設定できるようになるなど、事業者の裁量の幅が広がったことから、作業方法の確立、作業環境の整備等の必要な措置に関する事業者の責務について明確に規定することとしたこと。
    • (2) 定義(新高圧則第1条の2関係)
      今般の改正により新たに定義が必要となった「高気圧障害」及び「不活性ガス」について新たに定義することとしたこと。
    • (3) 圧力計(新高圧則第7条第6項関係)
      旧高圧則第 20 条の2の改正に伴い、同条において規定されていた自記記録圧力計の設置義務を圧力計に係る規定である本条においてまとめて規定することとしたこと。
    • (4) 空気槽(新高圧則第8条第2項第2号関係)
      旧高圧則第8条第2項第2号において規定されていた予備空気槽の内容積に係る計算式は、計算方法告示が定められたことから、内容に変更を加えず、同告示にまとめて規定することとしたこと。
    • (5) 略
    • (6) 作業計画(新高圧則第 12 条の2関係)
      (1)のとおり、今般の改正により、事業者の裁量の幅が広がったことから、事業者に対し、作業計画をあらかじめ作成して当該作業計画により作業を行うとともに当該計画を関係労働者に周知することを新たに義務づけることとしたこと。
    • (7) 高圧下の時間に係る規制の廃止(旧高圧則第 15 条関係)
      旧高圧則では呼吸用ガスとして空気のみが想定され、高圧室内業務を行うときの作業時間についての基準が旧高圧則第 15 条及び別表第1から別表第3までに規定されていたが、呼吸用ガスとして酸素と呼吸用不活性ガスを混合した混合ガス(以下「混合ガス」という。)が実用化されるなど技術の進展が見られること等を踏まえて、高圧下の時間に係る基準のあり方を下記(10)のとおり抜本的に見直すことに伴い、本条は廃止することとしたこと。
    • (8) ガス分圧の制限(新高圧則第 15 条関係)
      • ア 酸素及び窒素による急性の健康障害(酸素欠乏症を含む。)を防止するため、酸素及び窒素の分圧に制限を設けることとし、炭酸ガスの抑制について旧高圧則第 16 条に規定されていた内容を含めて規定したこと。
      • イ ヘリウムは窒素と同じく呼吸用不活性ガスとして用いられる気体であるが、特に中毒を生じないため、分圧の制限は設けないこととしたこと。
    • (9) 酸素ばく露量の制限(新高圧則第 16 条関係)
      酸素による慢性の健康障害を防止するため、酸素分圧が人体に有害とされている 50 キロパスカル以上の場合における酸素へのばく露の程度(酸素ばく露量)について、一定期間内に一定量を超えないよう制限を設けることとしたこと。
    • (10) 減圧の速度等(新高圧則第 18 条関係)
      • ア 第1項関係
        第2号は、旧高圧則第 15 条において規定されていた減圧の方法を抜本的に見直し、いわゆるビュールマン ZH-L16 モデルや諸外国の例を参考に、人体に溶け込む窒素の分圧とヘリウムの分圧をそれぞれ計算により求め、その分圧の合計が人体の許容することのできる最大の不活性ガスの分圧(いわゆるM値)を超えないように減圧を行うこととしたこと。なお、減圧の速度については、これまでと同様であること。
      • イ 第2項関係
        旧高圧則第 15 条第2号及び第3号において規定されていた事項を見直し、減圧を終了した時から 14 時間は、重激な業務に従事させてはならないこととしたこと。
        なお、「重激な業務」については、昭和 36 年4月 22 日付け基発第 368 号により昭和 23 年8月 12 日付け基発第 1178 号に示す業務をいうものとしてきたところであるが、第3の1(7)イ(イ)のとおりその解釈を明確化したこと。
    • (11) 作業の状況の記録等(新高圧則第 20 条の2関係)
      (8)及び(9)に伴い、作業状況の記録等を、減圧時のみならず加圧時や作業時についても義務づけることとしたこと。
    • (12) 略
    • (13) 潜水時間(旧高圧則第 27 条関係)
      潜水時間についても(7)と同様であること。
    • (14) 作業計画等の準用(新高圧則第 27 条)
      高圧室内業務及び高圧室内作業者に係る規定のうち潜水業務及び潜水作業者に準用することが適当なもの((6)、(8)から(11)までに係るもの。)については、必要な読替えを行って準用することとしたこと。
    • (15) 浮上の速度等(旧高圧則第 31 条関係)
      (14)に伴い、(10)と同様の見直しを行うこととしたため本条は削除することとしたこと。なお、この場合においても浮上の速度の最大値についてはこれまでと同様であること。
    • (16) さがり綱(新高圧則第 33 条第2項関係)
      旧高圧則別表第2が廃止されたため、従前の内容と同等の内容として3メートルごとに水深を表示すべき旨を本条に明確化することとしたこと。
    • (17) 純酸素の使用制限(旧高圧則第 35 条関係)
      (8)、(9)及び(14)により、酸素による健康障害の規制がなされることとなることから、本条は削除することとしたこと。
    • (18) 再圧室の使用(新高圧則第 44 条第2項関係)
      加圧及び減圧の状況を記録した書類の作成とその5年間の保存を明示的に義務付けることとしたこと。
    • (19) 略
  • 2 労働安全衛生規則の一部改正関係
    1に伴い、所要の改正を行ったこと。
  • 3 高気圧作業安全衛生規則第8条第2項等の規定に基づく厚生労働大臣が定める方法等関係
    • (1) 予備空気槽の内容積の計算方法(第1条関係)
      旧高圧則第8条第2項第2号において規定されていた計算方法と同一のものを計算方法告示において規定することとしたこと。
    • (2) 酸素ばく露量の計算方法(第2条関係)
      • ア 酸素ばく露量の計算方法及び酸素ばく露量の1日又は1週間についての上限値を規定したこと。
      • イ 酸素ばく露量の単位としては、酸素毒性を評価する「肺酸素中毒酸素曝露単位 UPTD(the Unit Pulmonary Toxicity Dose)」を用いたこと。
    • (3) 厚生労働大臣が定める区間等(第3条関係)
      • ア 第1項関係
        新高圧則第 18 条第1項第2号に規定する「厚生労働大臣が定める区間」として加圧の開始から減圧の終了までを窒素及びヘリウムの濃度並びに加圧及び減圧の速度に着目して区分した区間を定めたこと。
      • イ 第2項関係
        新高圧則第 18 条第1項第2号に規定する「厚生労働大臣が定めるところにより区分された人体の組織」として別表に掲げる第1半飽和組織から第 16 半飽和組織までを定めたこと。
      • ウ 第3項関係
        新高圧則第 18 条第1項第2号イに規定する「半飽和組織内に存在する不活性ガスの分圧」を求める方法として半飽和組織ごとに一定の計算式により求めた窒素分圧とヘリウム分圧を合計する方法を定めたこと。
        なお、第1号は窒素分圧について、第2号はヘリウム分圧についてそれぞれ定めたものであるが、計算の方法自体は同じであること。
    • エ 第4項関係
      新高圧則第 18 条第1項第2号ロに規定する「半飽和組織が許容することができる最大の不活性ガスの分圧」(以下「M値」という。)を求める方法として半飽和組織ごとに一定の式により計算する方法を定めたこと。

第3 細部事項

  • 1 高気圧作業安全衛生規則関係
    • (1) 第1条(事業者の責務)関係
      • ア 本条は、労働者の危険又は高気圧障害その他の健康障害を防止するため、事業者に対し、第1条の2以下に規定する具体的な措置を講ずるほか、作業方法の確立、作業環境の整備その他必要な措置を講ずべき責務を有することを規定したものであること。
      • イ 「その他の健康障害」には、排気ガスが呼吸用ガスに混入することによる炭酸ガス中毒が含まれること。
      • ウ  「その他必要な措置」としては、例えば次のものがあること。
      • (ア) 工期の早い段階からエレベーターを設置するなどの工程の改善
      • (イ) 作業計画を定めるに当たり、例えば、以下の事項を盛り込むこと
        ① M値の算出に当たり高い安全率を採用すること
        ② 減圧に要する時間ができるだけ短くて済むような呼吸用ガスを使用すること
        ③ 体内に蓄積された窒素ガスを速やかに対外へ排出するために呼吸用ガスの酸素濃度を高めて減圧を行う方法(以下「酸素減圧」という。)を採用すること
    • (2) 第1条の2(定義)関係
    • ア 第1号関係
      第1号の各用語には、それぞれ以下のものが含まれること。
      • (ア)  「減圧症」 潜水病及び潜かん病
      • (イ)  「酸素による中毒」 急性酸素中毒(いわゆる脳酸素中毒を含む。)及び慢性酸素中毒
      • (ウ)  「窒素による中毒」 窒素中毒(いわゆる窒素酔いを含む。)
      • (エ)  「炭酸ガスによる中毒」 炭酸ガス中毒
      • (オ)  「その他の高気圧による健康障害」 空気塞栓症及び骨壊死
    • イ 第6号関係
      「不活性ガス」とは一般的には反応性の低い気体をいうものであり、窒素及びヘリウムの気体に限られるものではないが、高圧則においては窒素及びヘリウムに限られること。
    • (3) 略 
    • (4) 第 12 条の2(作業計画)関係
      • ア 事業者が既に高圧室内業務に係る作業手順、注意事項等を記載した計画書を作成している場合において、当該計画書に本条所定の事項が含まれるときは、当該計画書を本条に基づく作業計画として取り扱っても差し支えないこと。
      • イ 略
      • ウ 作業計画の様式は任意であること。
    • (5) 第 15 条(ガス分圧の制限)関係
      • ア 柱書き関係
      • (ア) 本条による各気体に係る制限は、各気体の濃度によるものではなく、分圧によるものであるので留意すること。
      • (イ) 各気体の分圧は、本条の各号に定める範囲内とすることは当然であるが、これに加えて、作業室又は気こう室の圧力、労働者の体調、作業の状況等を勘案した適切なものとすること。
      • (ウ) 各気体に係る分圧の確認は、酸素及び炭酸ガスについては、それぞれに対応した測定器具により測定して得た値を用いて所要の計算を行うこと等により、窒素については各気体の全体の圧力から窒素以外の気体の分圧を減じて求めることにより行うこと。
        なお、混合ガスがボンベに封入されている場合であって、そのラベル等
        の記載により各気体の分圧を確認できるときは、当該記載によることとして差し支えないこと。
      • (エ) 「その他の必要な措置」には、ヘリウムを用いることにより各気体の分圧を調整することが含まれること。
    • イ 第1号関係
      高圧室内作業が労働安全衛生法施行令(昭和 47 年政令第 318 号)第6条第21 号の作業にも該当する場合は、当該作業については、本条によるガス分圧の制限のほか、酸素欠乏症等防止規則(昭和 47 年労働省令第 42 号)の適用も受けることとなるので留意すること。また、ただし書に掲げる分圧の範囲は、気こう室において酸素減圧を行う場合に必要な限度で許容されるものであること。
    • ウ 第2号関係
      • (ア) 空気を圧縮し呼吸用ガスとして使用する場合、ゲージ圧力が 0.4 メガパスカルを超えると窒素分圧が 400 キロパスカルを超えてしまうため、呼吸用ガスとして空気を用いることが認められる高圧室内業務は、ゲージ圧力0.4 メガパスカル以下の気圧下におけるものに限られること。なお、ゲージ圧力 0.3 メガパスカル以上 0.4 メガパスカル以下の気圧下における高圧室内業務についても、呼吸用ガスとして空気を用いないことが望ましいこと。
      • (イ) 呼吸用ガスとして空気を用いることが認められないゲージ圧力 0.4 メガパスカルを超える高圧室内業務においては、ヘリウムを呼吸用不活性ガスとして用いることが望ましいこと。
    • (6) 第 16 条(酸素ばく露量の制限)関係
      • ア 高圧則第 38 条第1項の規定に基づき実施した健康診断において、同項第6号の肺活量の測定の結果が著しく減少している場合は、慢性酸素中毒のおそれがあることから精密検査を実施することが望ましいこと。また、可能な範囲で、定期の健康診断のほか、高気圧作業実施期間の前後にも肺活量を測定することが望ましいこと。
      • イ 連日作業する場合は、1日あたりの酸素ばく露量を平均的になるようにすること(例えば、6日間連続で作業し、1週間の酸素ばく露量の合計を 2,400とする場合は、各日の酸素ばく露量を 400 以下にすること)が望ましいこと。
    • (7) 第 18 条(減圧の速度等)関係
      • ア 第1項関係
      • (ア) 第2号の規定を満たす場合であっても、第1号の減圧速度を超えるときは、当該速度は認められず、第1号の上限値である毎分 0.08 メガパスカル以下の減圧速度を前提に作業計画を作成する必要があること。なお、毎分 0.08 メガパスカルの減圧速度であっても、第2号の規定を満たさない場合があるので、減圧速度の設定の際には留意が必要であること。また、高圧室内業務にあっては、減圧速度を毎分 0.015 メガパスカル以下とすることが望ましいこと。
      • (イ) ダイブコンピュータ等を用いて加圧及び減圧の管理を行うことについては、プログラムにより計算された減圧停止時間等が法令の規定を満たすものであれば、差し支えないこと。
    • イ 第2項関係
      • (ア) 「減圧を終了した者」には、高圧室内業務に係る減圧を終了した者がその日のうちに更に高圧室内業務を行う場合と、そのまま高圧室内業務を終了した場合のいずれも該当するものであること。
      • (イ) 「重激な業務」とは、安衛則第 13 条第1項第2号トに示す業務をいうものであること。
      • (ウ) 減圧を終了した者について、減圧終了後の当初においてはできるだけ身体を安静にさせることが望ましいこと。
      • (エ) 減圧を終了した者がその後間もなく航空機内などの低圧環境に置かれる場合は、業務外であっても、休憩時間を十分にとらせる、出発前に酸素を十分に吸入させる等、当該労働者の健康に配慮することが望ましいこと。
    • (8) 略
    • (9) 第 27 条において準用する各規定関係
      • ア 第 27 条において準用する各規定に係る細部事項については、高圧室内業務を潜水業務、高圧室内作業者を潜水作業者と読み替えて準用すること。
      • イ 第 27 条において準用する第 15 条第1号に関し、呼吸用ガスとしていわゆる純酸素を使用することについては、潜水作業者が溺水しないよう必要な措置を講じる場合のみにおいて認められるものであること。
      • ウ 第 27 条において準用する第 15 条第2号について、空気を圧縮し呼吸用ガスとして使用する場合、水深が 40 メートルを超えると窒素分圧が 400 キロパスカルを超えてしまうため、呼吸用ガスとして空気を用いることが認められる潜水業務は、水深 40 メートル以下の場所に限られること。なお、水深 30 メートル以上 40 メートル以下の場所における潜水業務についても、呼吸用ガスとして空気を用いないことが望ましいこと。
      • エ 呼吸用ガスとして空気を用いることが認められない水深 40 メートルを超える潜水業務においては、ヘリウムを呼吸用不活性ガスとして用いることが望ましいこと。
    • (10) 第 33 条(さがり綱)関係
      本条に規定する3メートルごとの表示に加え、更に細かい間隔で表示を設けることは差し支えないこと。ただし、この場合は、本条の規定による3メートルごとの表示と混同しない表示方法としなければならないこと。
  • 2  高気圧作業安全衛生規則第8条第2項等の規定に基づく厚生労働大臣が定める方法等関係
    • (1) 予備空気槽の内容積の計算方法(第1条関係)
      用語については、旧高圧則第8条第2項第2号に関して出された通達等の内容によること。
    • (2) 酸素ばく露量の計算方法(第2条関係)
      • ア 第1項の計算式により、計算方法告示第3条各号の区間ごとに酸素ばく露量を求め、各区間の酸素ばく露量を1日又は1週間について合計した上で、その値が第2項に定める値を超えないようにする必要があること。
      • イ 呼吸用ガスとしていわゆる純酸素を用いる場合は、酸素濃度を 100 パーセントとして計算等すること。
    • (3) 厚生労働大臣が定める区間等(第3条関係)
      • ア 第1項第1号の区間は、高圧室内作業にあっては当該高圧室内作業を行っている時間、減圧を停止している時間を、潜水作業にあっては当該潜水作業を行っている時間、浮上を停止させている時間を指すものであること。また、同項第2号の区間は、高圧室内作業にあっては加圧している時間及び減圧している時間を、潜水作業にあっては潜降させている時間及び浮上させている時間を指すものであること。
      • イ 呼吸用ガスとしていわゆる純酸素を用いて減圧を行う場合であって、マスクから呼気が漏れるおそれがあるときは、各区間の計算に際し、窒素の濃度(NN2)を 20 パーセント、ヘリウムの濃度(NHe)を0パーセントとしてそれぞれ計算すること。
      • ウ 第3項及び第4項の Paについては、実際の計算に当たっては、飽和水蒸気圧を勘案し 100 から 5.67 を差し引いた 94.33 とすることが望ましいこと。また、ダムなどの高所における潜水業務の場合は、その高度における大気圧から飽和水蒸気圧を差し引いた値を用いることが望ましいこと。











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