ヘルメット式潜水
ヘルメット式潜水
- 定量送気式潜水で、潜水器としては代表的なもので、日本では120年前ころから使用されているが、重量が大きく、操作に熟練を要し、呼吸ガスの消費も多いことから最近は、減少しています。
ヘルメット本体
- ヘルメット本体とシコロ(別名:肩金、カブト台など)で構成されており、ヘルメットとシコロははめ込み構造で、潜水服の襟ゴム部分とシコロを取り付け、蝶ねじで閉めて固定します。
- ヘルメット本体には正面窓と側面窓が設けられており、側面窓には激突などによるガラスの破損を防ぐために金属製の格子が取り付けられています。
- ヘルメット本体後部にある送気ホース取付口には、空気が逆流することのないよう逆止弁が組み込まれています。
- ヘルメット本体後部右側と内側には、排気弁(キリップ)が設けられており、浮力調整のため自分の頭部を使って排気弁の操作を行うほか、外部から手で調節することもできます。
- ヘルメット本体正面下部左側には唾を吐き出すためのドレーンコックがあります。
- ヘルメット潜水器の構造については、「潜水器構造規格」(労働安全衛生法令(抜粋)参照)で定められています。
潜水服
- ヘルメット式潜水専用のものが使われ、木綿とナイロンの混紡生地にゴム引きし、2枚張り合わせたものが通常であるが、最近では、ネオプレンゴム製のものもあります。
- 潜水者の体温保持と浮力調整のため、内部に相当量の空気を蓄えることができます。
潜水靴
- 大きな浮力による潜水者の体の安定のバランス確保のため、一足あたり約10kg(9.8kg)のあるものが使用されます。
ウェイト(鉛錘)
- 非常に大きな浮力と潜水者の体の安定させるため、潜水靴同様、ウエイトを使用します。
- 鉛錘は、前後に振り分けられ、一組28kgと32kgのものがあります。
ベルト
- 送気される大量の空気が下半身に入り込まないよう腰部を締め付ける。また、腰バルブの固定用としても使用します。
腰バルブ
- 潜水者の腰の位置に固定するバルブで、ヘルメットに入る空気量を調整したり、送気が中断した場合に潜水服内の空気の逆流を防ぐ安全弁の役目も持っています。
空気圧縮機(コンプレッサー)
- ヘルメット潜水器は、ヘルメット内や潜水服内などに潜水者の呼気が留まるため、炭酸ガス(二酸化炭素)になるおそれがあるため、大量の送気によって常に換気しなければなりません。
- 高圧則第28条第1項では、その水深の圧力化で毎分60リットル以上を送気しなければならないと規定されています。
空気槽
- 空気槽には調節用空気槽(調節タンク)と予備空気槽(予備タンク)があり、調節用タンクは、空気の流れを整え、油分・水分を分離する機能を持ちます。
- 予備タンクは、故障時に備えて空気を蓄えておくもので、浮上に必要な最低限の圧縮空気を蓄えています。
- その予備タンクの圧力は、高圧則第8条第2項で、常時、最高の潜水深度における圧力の1.5倍以上であることと定められ、その内容積は、平成26年厚生労働省告示第457号第1条で次の計算式による値以上にしなければならいと規定されています。
60(0.03D+0.4)
V= -----------
P (全面マスク式は60が40となります。)
- V:予備空気槽の内容積(単位はリットル)
- D:最大の潜水深度(単位はメートル)
- P:空気槽内の圧力(単位はメガパスカル)で定められている。
流量計
- 空気清浄装置と送気ホースの間に取り付けて、適量の空気が送気されていることを確認する計器で、高圧則第9条で設置が義務付けられています。
送気用配管及び送気ホース
- 送気用配管及び送気ホースについては、全面マスク式を参照してください。
- なお、送気ホースは、内径は12.7mm(呼び名13mm)のものガ使用され、長さは、1本15mと50mの2種類が多く使われています。
さがり綱(潜降索)、水中電話、信号策、水深計、水中時計、水中ナイフ
- 全面マスク式潜水を参照してください。
その他
作業潜水船
- 潜水作業船には、潜水作業中にスクリューが絶対に回転することがないようにクラッチ固定装置を設置し、万が一スクリューが回転してしまっても送気ホースを巻き込むことのないようにスクリューカバーを取り付けておく必要がある。
- 作業潜水船は、潜水作業中は、海上衝突予防法に定められた国際信号旗のA旗を作業船にかかげなければならない。
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