個別の潜水状況への対応
個別の潜水状況への対応
高所での潜水
- 湖沼での潜水は標高の高いところで行われることが多いこと及び高所での潜水は絶対圧が海抜ゼロメートルのときよりも小さくなるので「深度補正」が必要となることは、第1編 潜水業務の危険性で勉強しました。
- 高所での潜水は、1気圧よりも低いので不活性ガスが気泡化しやすいのです。
- そのために通常の減圧表はそのままでは使用することができませんので、標高により補正した減圧表を使用することになります。
- なお、標高100m以下の場合は高所による影響を考慮しなくてもよいとされております。
1気圧
減圧計算のための潜水深度=高所の潜水深度×ーーーーーーー
高所の絶対気圧
- 重要なこととして、潜水後の峠越え、航空機搭乗では、環境圧力が1気圧以下になるので大気圧下では発症しなかった減圧症が現れることがあります。
- 峠越え、航空機搭乗については、潜水終了後から時間をあけることが推奨されており、12時間~24時間くらいがとされておりますがその時間を大きく取ったほうが望ましいとされています。
再圧室を使用して酸素減圧をする場合
- 以前にも少し記載してありますが、水上で再圧室で減圧を行うという方法であり、日本では、不活性ガスの分圧がM値をこえないように減圧しなければならないと規定されているので通常では行うことはできません。
- ですが、水中で長時間の減圧停止を行うことは、潜水士に大きな負担をかけているので、将来的にはその実施を考慮しておく必要があるでしょう。
- ちなみに水上酸素減圧は、緊急浮上とは意味合いが違い、初めから減圧を水上で行うことにしているのもので、ある程度の水中での減圧のち、浮上し、速やかに残りを水上の再圧室で行う方法です。
水中で酸素減圧をする場合の注意点
- 水中で酸素減圧をする場合については、急性(中枢神経)酸素中毒を防止するため、酸素分圧の上限を160kPaとして、溺水などがおこらないような措置を講じた場合には、220kPaまでとされていることも勉強しました。
- ですが、より安全性を考えると、法規で認められているからといっても、この上限限界に近い状態で行うことよりも低い値を考慮することも必要でしょう。
- この酸素中毒を予防するため、減圧途中で酸素呼吸を空気や分圧の低い酸素呼吸に切り替える「エアブレイク」(混合ガス潜水参照)、ガス・スイッチ法を行う場合には慎重に対応しなければなりません。
- また、呼吸ガスを変更した際に、肺内に気泡が生じる「等圧気泡形成(アイソバリック・バブル・フォーメーション)(混合ガス潜水参照)にも注意し、慎重に対応しなければなりません。
減圧を省略して浮上した場合及び緊急時の場合
- 減圧を省略して浮上しなければならない場合や水中での怪我等が発生した場合など緊急に浮上しなければならなければいことがあります。
- この場合、減圧症にり患するおそれが大きくなりますが、減圧症は直ちに致命的になるわけではないので、減圧症にり患することをおそれて、潜水者の水上への引き上げを躊躇してはいけません。
- また、潜水者は、常に緊急ボンベ(ベイルアウト)を携行して潜水し、救助用のスタンバイダイバーを確保したりする必要があります。
- バディブリージングも十分な訓練のもとに行われるものであるので安易に行ってはなりません。
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